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※六英雄時代
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後に暗黒大戦と呼ばれる時代。
薄暗いテントの中、テルミはうっすらと目を開けた。
何してたんだっけか…。
ぼんやりとした頭で自分が布団に横になっていることとその傍らに誰かがいることに気づく。
「漸く目が覚めたか」
その声を聞いてテルミはすっと目を細めて体を起こした。
隣に鎮座していたのは白き面と鎧の男…ハクメンだった。
認めたくは無いが黒き獣を倒すと言う点では『仲間』ということになる。
「何でテメェがいるんだよ」
「面倒を見ろ、と猫が謂うので仕方なくだ。でなければ貴様の看病など誰が好き好んでするか」
看病、と言われてやっと思い出す。
黒き獣が現れてから…いや、正しくはそれ以前から色々と暗躍していた、その疲れがまさに忘れたころに出てテルミは倒れてしまったのだ。
テルミとしては大したことは無いと思っていたのだが身体の方はそうでもなかった、と言うべきかそんなつもりは無かったのに倒れてしまったと言える。
もしかしたら身体に僅かではあるがズレでも生じているのか…色々と思うことはあるがそれを目の前の男に話してやる義理は無い。
単純に疲労で倒れたということにしていた方が好都合だろう。
「未だ呆けているのか」
「あー…つーか別に付きっきりでついてなくてもアレの相手してりゃいいだろうが」
「いくらあの兵器の力があるとて個で戦っていては結果は同じだ。本意ではないが貴様の力も必要だ」
「そう言われて嫌々俺の世話してるってわけか」
言われるがままで情けねぇ、と言おうと思ったがそいつに世話されてるのは他でもない自分だ。
言葉を飲み込んで何か他の話題は無いかとぐるりと中を見渡す。
「…なんだそれ」
ハクメンの隣にちょこんとリンゴが置いてある。
背負う剣よりも鋭い気配を纏ったハクメンにリンゴなぞ不釣り合いにも程がある。
「あぁ…トリニティが置いて行った。目が覚めたら貴様に喰わせろ、と」
魔法で出したものではないから安心してくださいね、と笑うに笑えないことをさらりと言っていたが…とハクメンが僅かに漏らした。
トリニティらしい本当か嘘かよくわからないギャグだ。テルミもその辺りはどうも掴めないと思っている。理解したくもないが。
まぁいいか、とテルミがもらすとハクメンがリンゴを投げてよこした。
思わず受け取ってしまったがハクメンのその態度にカチンと来る。
「おい」
「何だ」
「このまま食えってか」
「…剥かねば食えぬなどと子供の様な事でも謂うつもりか」
「仮にも看病任されて放置か?あー、ずいぶん御立派な態度取ってる割に看病のやり方わかんねぇとかそういうことか」
「…貸せ」
そう言ってリンゴとナイフをテルミから奪い取りテントに常備してある皿を二枚用意して
丁寧に切り分け始めた。
……………何だ、案外巧いじゃねーか。
てっきり愛用の剣ならともかく料理は…などというありきたりな萌え要素でも積んでるのかと思ったが単純にテルミにリンゴを剥いてやると言う行為自体が嫌だったと言うのか。
それはそれで何かムカツク。好かれているとは微塵も思っていないがあからさまなのもそれはそれでムカツク。
「出来たぞ」
「早ぇな…………は?」
とか考えているうちに差し出された皿を受け取りかけて思わず変な声が出た。
「如何した?」
リンゴは綺麗に切り分けられている、あぁ確かにとても嫌味なくらい綺麗にだ。
だが皿に鎮座するそれはぴょこんと皮の端を立たせた飾り切り…所謂『うさぎりんご』と言うものではないだろうか。
しかもその加工を一つ残らず施し、御丁寧に皿にくるりと輪になるように盛りつけられている。
「な、何だこりゃ」
「貴様が剥けと謂うから剥いたのだろうが」
「…いくら看病が嫌だからってこういうことするかよ普通」
嫌がらせとしても性質が悪い、そうぶつぶつと呟いていると心底不思議そうにハクメンが答えた。
「それは如何いう意味だ」
「へ?」
「不備が有る様には見えないが」
仮面で見えないが顔が見えていればきょとんとした顔でも見せているのだろう。
第一言葉にまったく迷いが無い。本気で何がおかしいのかわかってない声だ。
いやいや待ていくらなんでも大の男2人で可愛いうさぎりんごを囲んでるとかおかしく思うだろ普通。
「………え、何それ…マジ?」
「だから一体如何した。未だ呆けているのか貴様」
苛立ちながらハクメンが悪態をつくがまったく理解はしてないらしい。
折角切ったのにイチャモンつけられた、そんな反応だ。
「は、はは…」
もはや渇いた笑いしか出ない。
いくら戦うこと以外は色々と疎そうだからってこれはないだろ。
「気が済んだならもう行くぞ」
「あー…ありがとな」
珍しく素直に礼を言われてハクメンが不思議そうに首を傾げながら出て行った。
テルミはリンゴを一つつまみながら堪え切れずにくつくつと笑う。
「あんなのに可愛いだなんて俺終わってんだろ…」
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「リンゴはウサギに剥くものだと思ってるハクメン(ジン)」ネタ。
これだけで士官学校ネタもハクバンもいけると思ってる万能ネタです。
書くかどうかは別として。